海外では、ゲーム相手へ「スワッティング(Swatting)」という嫌がらせを起こすことがあります。
先日、この事件の首謀者や依頼者に有罪判決が下りました。
日本で人気の『フォートナイト』においても、同様の事件が起きているので注意したいですよね。
この記事では、スワッティングの詳細や判決内容について紹介します!
このページの目次
ゲームの嫌がらせ、「スワッティング(Swatting)」ってなに?
引用:YouTube
「スワッティング(Swatting)」は、オンラインゲームをプレイした相手に対して行う嫌がらせです。
嫌がらせ、という表現を使われることが多いですが、被害の大きさや巻き込まれる人の多さなどから、「テロ」とも言われています。
その方法は、「自分の気に入らない相手を警察などに通報する」というもの。
しかも、通報内容はかなり過激なもので、「立てこもり事件を起こしている」「銃で人を殺した」など、緊急性をあおります。
このため、例えばアメリカでは、特殊部隊であるスワット(SWAT)が出動する事態にまでなるのです。
「スワッティング」の語源は、このスワットからきているんですね。
ちなみに、通報内容によっては聞き取り調査等をせず、通報のあった住所にいきなり特殊部隊が踏み込む、あるいは機関によって射殺されるなどの対応がされてしまいます。
アメリカで起こったスワッティング事件で有罪判決!事件の概要は?
引用:https://edition.cnn.com/2019/09/14/us/swatting-sentence-casey-viner/index.html
スワッティングを依頼したケーシー
2017年12月28日、アメリカでスワッティングによる悲しい事件が起こりました。
通報を受けた警官隊に、全く無関係の第三者が射殺されてしまったのです。
いったい、何が起こったのでしょうか?
同日、当時17歳のケーシー・ヴィナーは、19歳のシェーン・ガスキルと、人気FPS『コールオブデューティー:ワールドウォーII』をプレイしていました。
しかし、ケーシーはシェーンにやられてしまいます。
これに腹を立てたケーシーが、シェーンの住所を聞き出し、スワッティングしたのです。
しかし、シェーンも素直には自分の住所を伝えず、自分が昔住んでいた住所を教えます。
ちなみに、このときシェーンは「やれるもんならやってみろ」といったニュアンスの挑発、あるいは煽りを行いました。
そしてケーシーは、「スワッティング請負人」をしていたタイラー・レイ・バリス(当時25歳)に仕事を依頼。
タイラーはこの住所を使い、「父親の頭を銃で撃ちぬいた。母親や兄弟を人質にとっている。」と虚偽の通報をしました。
また、通報の際にタイラーは、自殺を匂わせるとともに家に火をつける、と発言したようです。
通報を受けた警官隊は、全く無関係のアンドリュー・フィンチ(当時28歳)を射殺してしまいます。
この事件の被告人は3人です。
1人目は、実際にスワッティング(通報)を行ったタイラー。
彼は、「スワッティング請負人」として、50件以上もの事件に関わっていました。
これらも含めて、2019年3月に懲役20年の有罪判決を受けています。
2人目の被告は、スワッティングを依頼したケーシー。
彼は事件直後、「俺は銃を撃ってない。だから、俺は誰も殺していない」といった内容をツイッターに投稿しました。
また、法廷でも「何かを起こそうとするつもりはなかった」と発言します。
これに対し裁判官は、「スワッティングすれば何が起こるかは簡単に予想できたはず。我々は何をするつもりだったのかではなく、何をしたかによって罪を判断する」として、2019年9月13日、ケーシーに懲役15ヶ月および罰金約27万円、そして釈放後の2年間を監督下に置かれることと、その間オンラインゲームのプレイを禁止するという判決を下しました。
ケーシーは今回の事件の共謀や、証拠の隠滅を図ったことなどが罪として認められています。
しかし、人を1人死に追いやっておいて、15ヶ月の懲役というのはいささか軽く感じてしまいますね...。
最後に、古い住所を伝えたシェーンも、被告人として取り上げられています。
彼の場合、無関係の人が住む住所を教えたこと、さらに「やれるもんならやってみろ」的な煽りをしたことが、同じく共謀罪に問われました。
ただし、彼は司法取引に応じたことなどから、起訴が見送られたとのことです。
『フォートナイト』でもスワッティング事件が発生!事件に巻き込まれないためには?
Kootra氏へのスワッティング生配信の動画 問答無用なのがよくわかる
これは、アメリカの事件ということで、我々はどこか対岸の火事のように思っているかもしれません。
しかし、日本で起こらないとも限らないのです。
例えば、日本人にも人気の『フォートナイト』では、2019年8月に、海外の人気配信者Bugha氏(大会優勝により3億円の賞金を獲得した経験あり)が、同じくスワッティングの被害にあいました。
有名人ということで、比較的簡単に住所が割れてしまったようです。
『フォートナイト』は協力プレイなどもあり、上手くサポートできないと言い合いやケンカになることもよくあります。
ちょっとした言い争いがエスカレートし、日本の警察に通報される、ということはありえない話ではないでしょう。
そこで、スワッティング事件に巻き込まれないために、どうすればいいのかを知っておく必要があります。
簡単なことですが、「住所や本名をさらさない」というのが1番ですね。
当たり前のことのように思えるかもしれませんが、何度か一緒にプレイして仲良くなってくると、つい言ってしまうこともあるかもしれません。
そして、その相手がある日豹変する、あるいは、誰かに情報を漏らしてしまう、という可能性は0ではないのです。
また、ツイッターなどに、個人情報を特定できる内容を載せないことも重要です。
あなたを恨む人が、ゲームのアカウント名などからそこにたどり着くこともありえます。
そして何より、過剰に煽らないことですね。
ケンカを売られると、つい買ってしまうこともありますが、「これはゲームなんだから」と我慢することも大事です。
もっとも、私も我慢できずに言い返してしまうこともあるんですけどね...。
このような事件によって、ゲームやeスポーツが規制されてしまうと悲しいことこの上ありません。
まずは、自分が巻き込まれないように自衛しつつ、このような事件がなくなることを祈ります。